2023/06/25 03:38



そもそもシードルとは何か?今日本のシードルが注目される理由とは?今更聞けないシードルのことをまとめてみました。
日本各地のシードルを知っていただく前に、まずはシードルの基本を学んでいただきましょう。シードルという言葉は最近耳にするようになったけど、まだよくわからない。という方は、この機会にシードルの作り方や魅力に触れてみてください。

そもそもシードルって?(シードルの定義)


リンゴ果汁をアルコール発酵させて造る醸造酒

アルコール度数は平均2~9%程度。1ボトル(375ml)に約2~3個のリンゴが使われています。発泡性のものが主流ですが、泡のないタイプも。近年は他のフルーツをブレンドしたり、ホップやハーブを漬け込んだシードルも増えています。また日本では、果実酒や甘味果実酒に分類されることが多いですが、ブリュワリーが麦芽を用いて発泡酒として造るシードルも存在します。

シードルの作り方(瓶内二次発酵)

1、栽培・収穫
4月から5月にかけて白い花が咲き、ミツバチが受粉を手助け。花が散ると実が徐々に膨み、赤や黄色、緑といった色とりどりのリンゴができあがります。9月〜11月が収穫シーズンで、完熟して糖度の上がったリンゴを収穫。4月から5月にかけてリンゴ産地では白い花が咲き、ミツバチが受粉を手助けします。花が散ると実が徐々に大きく膨らみ、9月〜11月にかけて収穫期を迎えた赤や黄色、緑といった色とりどりのリンゴが収穫されます。

2、選果・洗浄
甘い品種、酸味の強い品種、渋みのある品種などをブレンドすることで、より複雑な味わいになります。病気などの不良果を取り除いたのち、汚れを落とすためにリンゴを丸ごと洗浄。リンゴの芯を取り除く醸造所もあります。

3、破砕
リンゴから果汁を搾りやすくするため、クラッシャー(破砕機)にリンゴを丸ごと投入して粗いすりおろしリンゴにします。皮ごと破砕することで、苦味や香り成分、そしてポリフェノールなどの栄養分を取り込むことができます。

4、搾汁
細かく砕かれたリンゴをプレス機で圧搾することで、ジワジワと甘い香りのする果汁が流れ出てきます。搾りたての果汁にはペクチンや果肉等が多く含まれ濁っているため、2〜3日程度の清澄を経てクリアな果汁にします。

5、一次発酵
大きなタンクに入ったリンゴ果汁に酵母を加えアルコール発酵させることで、果汁内の糖を酵母が食べて、徐々に甘い果汁がアルコールを含む甘くないお酒に変わっていきます。

6、二次発酵
シードルの“泡”を造るため、一次発酵でできたシードルを、瓶やタンク、ケグなどの密閉容器内で再び発酵させる工程です。酵母が生む炭酸ガスが容器内でゆっくり溶け込み、きめ細かな泡が立ち昇るシードルが完成します。
二次発酵は、主にシードルに発泡性を持たせる工程です。シードルを瓶やタンク等の密閉容器内で追加発酵させることで、酵母が造りだす炭酸をゆっくり溶け込み、きめ細かな泡が立ち昇るシードルが完成します。甘口にする場合は、熱処理も行います。
※二次発酵ではなく、炭酸ガスの添加(圧入)により発泡性を持たせる方式もあります

日本のシードルが面白い!今、注目が集まる理由


世界で人気が高まり消費量が増えるシードルですが、近年日本国内でも注目されています。おしゃれでカジュアル、そしてアルコール度数も低めで飲みやすいだけでなく、食品や農業問題に対する消費者の関心の高まりが、シードルの生産を後押ししています。

1 日本のシードルの特徴

日本らしい繊細で優しい味わい

繊細かつスッキリとした味わいで、渋みを控えめに仕上げることで日本食にも合わせやすい日本のシードル。スイーツとして楽しまれてきた日本のリンゴ文化に慣れ親しんだ私たちにとって、癖がなく甘くて程よい酸味がある味わいは親しみやすく、その日本らしい味わいが外国人旅行者にも好評です。近年ワインのように食事に合わせやすい辛口シードルも注目されています。
一方で、本場欧州のシードル産地で栽培されている渋みの強い醸造用品種を育てブレンドすることで、海外でも評価されるシードル造りに取り組む生産者も現れています。過去には、日本のシードルは甘いか似たようなものばかりと評価されていた時期もありましたが、近年は国内生産者の技術や経験値も上がり、美味しさと個性を兼ね備えたシードルも登場することで魅力的なシードルが増えています。

2 シードルを手がける醸造所が増えている

様々な酒造業界からの参入が活発化
酒蔵やワイナリーの独自技術も投入

シードル専門の醸造所が多い海外に比べ、日本のシードル生産者は専門醸造所の他にもワイナリーや酒蔵、ビールや発泡酒のブリュワリーも手がけるなど、それぞれのバックグラウンドと醸造技術が活かされたシードルが造られており、この多様性も日本らしい特徴です。発酵に使用する酵母もシ―ドル用だけでなく、ワインや清酒用が使われており、それぞれの酵母が出す香りや味わいの特徴がシードルにも反映されています。技術としては、ワイナリーではスパークリングワインの製造方法である瓶内二次発酵が主流。日本酒の酒蔵では、甘口シードルの発酵を止める際、酒造りでも行われる瓶燗(低温殺菌処理)の技術を使用します。近年は、リンゴ農家が多彩な品種のリンゴを醸造所に持ち込み、独自のブレンドで開発する農家のシードルも長野県を中心に急増しています。

3 地方創生やSDGsでも注目

形や色づきが悪いなどの理由で極めて安価で取引されてしまうリンゴの有効活用先として、シードル造りにより付加価値を高めたり、その土地ならではの食材を使った料理とシードルのペアリングの提案に取り組んだり、閉校した校舎やレンガ造りの倉庫を活用してシードル醸造所を立ち上げたりと、持続性ある農業や地域を目指して新しい風が吹き始めています。

地域や造り手らしいシードルが登場

青森県や長野県など主力のリンゴ産地を中心に、後継者となる若手のリンゴ農家が新たな特産品としてシードル造りに取り組んでいます。例えば、ワイン造りも盛んな長野県では、ワイナリーが周辺で採れるリンゴで果実酒を造ることでシードル造りが広まりました。青森県では、早くからリンゴ農家自身がシードル醸造所を立ち上げ、それぞれの醸造所で特徴あるシードルが造られています。近年では、アメリカなど海外のシードル生産者のスタイルを取り入れた製法やブランディングで事業展開を図る醸造所もあります。
また農家の若返りや農業の魅力向上に向けての挑戦も始まっています。形や色づきが悪いなどの理由で極めて安価で取引されてしまうリンゴの有効活用先として、シードル造りにより付加価値を高めたり、その土地ならではの食材を使った料理とシードルのペアリングの提案に取り組んだり、閉校した校舎やレンガ造りの倉庫を活用してシードル醸造所を立ち上げたりと、持続性ある農業や地域を目指して新しい風が吹き始めています。

シードルに使われているリンゴ


シードルの味わいを決める主因であるリンゴの品種について、代表的なものをまとめてみました。香り、甘味、酸味、渋味に特徴があるリンゴをブレンドすることにより、より複雑で旨味あるシードルができます。

1、香りが良い品種
トキ
 青森県のリンゴで香り豊か、強い甘味と酸味のバランスが良い
ジョナゴールド
  紅玉(ジョナサン)を親にもち、香りもよく酸味もしっかり
メイポール
 イギリス原産で赤い果肉の小玉品種。濃い味わいのシードルができる

2、酸味の強い品種
ブラムリー
 原産国イギリスではポピュラーな青リンゴ。強い酸味が特徴
紅玉
 アップルパイでもお馴染み。小ぶりでしっかりとした酸味がある
グラニースミス
 オーストラリア原産。酸味が強く、爽やかな味わいの青リンゴ甘味

3、甘味の強い品種
つがる
 酸味が極めて少なく甘さが中心の品種。青森生まれで津軽が名前の由来。
シナノスイート
長野生まれで酸味は控えめで甘味が強くジューシーな味わい
ふじ
世界一生産量が多い日本を代表するリンゴ。強い甘味に程よい酸味もある

4、渋みの強い品種
和林檎(高坂林檎)
  平安時代に中国から伝来。渋みがあるため主に観賞用であった
ヤーリントンミル
  イギリス・サマセット原産で渋みの強い伝統的なサイダーアップル
ダビネット
  甘味、酸味、渋味のバランス良い、イギリス原産サイダーアップル

好みの味を見つけよう


辛口は、アルコール発酵を最後までおこなうため、糖分がほぼ残らずアルコール度数は高くなる傾向にあります。一方、甘口は、アルコール発酵の途中で発酵を止めることで糖分が残りアルコール度数は低くなります。もちろん、辛口のシードルに糖を加えることでも甘口になります。
渋みや酸味が強い品種の割合や熟成期間、樽熟成の有無などにより、ライトボディからフルボディの口あたりに違いが生まれてきます。

●甘口 
 りんごらしい甘味や酸味が魅力。お酒が苦手な方も飲みやすい。
●辛口 
 食中酒としておすすめ。飲み慣れた方、お酒好きの方に好まれる。
●ライトボディ 
 ライトボディは、キレが良くゴクゴクとスッキリ飲むことができる
●フルボディ
 フルボディは、ゆっくりと味わいながら香りや余韻を楽しみたい

シードルの魅力


1 低アルコールで飲みやすく、苦味が少なくフルーティ
シードルはアルコール度数が3%〜8%のものが多く、苦味が少なくフルーティーで飲みやすい。酔いすぎないのでランチやクッキングしながらも楽しめる。
また、ワイナリーが造るものが多いからがワインに近いイメージを持っている人も多いかもしれないけれど、小瓶のものも多くリリースされていて価格もリーズナブル。果実酒のシードルはワインのように作られますが、小瓶も多くリーズナブルなのでビールのように場所を選ばず友人や家族とも気軽に楽しむことができます。
シードルを好んで飲まれている方には、リンゴらしいフルーティな味わい、低アルコールで気軽に飲みやすい点が好評です。また、他のお酒に比べて二日酔いがない、浮腫まないと感じる方も多いようです。リンゴがデザインされたラベルのデザインが気に入って手にとる方も増えています。

2 世界に広がるシードル文化
シードルは世界各国や地域で味わい、飲み方、合わせる料理に特徴があります。
例えば、フランス・ブルターニュでは、陶器製の器「ボレ」に注いだシードルをそば粉のガレットともに楽しみます。スペイン・アストゥリアスでは酸味の強いシードルを頭上に掲げたボトルからグラスに注ぎ泡立てます。

3 健康効果
りんご100%で造られたシードルは、プリン体がほぼゼロでグルテンフリーなお酒として体への負担も少なく、疲労回復効果のあるリンゴ酸も含まれます。

4 実は料理にも合わせやすい
様々な料理や調味料にも使われるリンゴが原料なので料理との相性もよく、好きな料理とも組み合わせやすい。シードルの甘味はカレーなどの辛さも和らげる。

5、難しい知識は必要無し
個性豊かなシードルの中から、美味しいシードルを選ぶとき、素直に「美味しい」と感じたシードルがあなたにピッタリのシードルと言えます。知識やうんちくを必要とせずパーティや贈り物にも使いやすいです。自分や大切な人の笑顔こそ「美味しい」証拠です。

6、生産者の顔が見えやすい
シードルの原料は、身近な果物であるリンゴのみでできます。原料がシンプルだから、その生産者に会いに行くことも不可能ではありません。中にはリンゴの木オーナー制度があるリンゴ農家もあり、自分やオーナー仲間のリンゴでオリジナルのシードルを造る企画もあります。

日本でシードルを製造する醸造所数


現在、日本のシードル醸造所数は約110軒。長野県を筆頭にシードルを生産する醸造所が急増している。シードル専門醸造所やワイナリーだけでなく、日本酒の酒蔵やブルワリーが製造するケースもあり、その多様性も日本のシードルの魅力の1つです。